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ブログ 学会・研修会

全日本鍼灸学会関東支部認定講習会in東京大学

2019年6月2日(日)全日本鍼灸学会関東支部認定講習会に出席してきました。

東京大学医学部・医学部附属病院 健康と医学の博物館が移転リニューアルしていのでこちらもチェックしてきました。

健康と医学の博物館


http://mhm.m.u-tokyo.ac.jp

(公益社団法人)全日本鍼灸学会関東支部認定講習会A講座
講演1 10:10〜11:20
『鼻炎の病態生理と体性-自律神経反射-』
東京大学医学部附属病院 耳鼻咽喉科·頭頸部外科学分野 近藤健二先生

鼻は全身の恒常性維持に呼吸を通して寄与しており、外界の環境(気温、湿度、化学物質)に即応して呼吸機能を一定に保つ役割を持つ。 そのためのシステムとして免疫や内分泌では速度が十分ではないため、神経反射による制御機構が機能維持に必須である。一方、 このような神経機構は鼻炎の病態にも深く関与する。アレルギー性鼻炎のトリガーは抗原の鼻粘膜ヘの進入であり、これに引き続く抗原特異的IgEとの結合、肥満細胞からのヒスタミンをはじめとする化学メディエーターの放出である。 しかしこれに引き続いて、鼻粘膜表面で知覚神経が刺激を受けて中枢に情報を伝達し、交感副交感神経を介した反射を惹起し鼻粘膜の血管拡張、鼻腺分泌が亢進し、また呼吸筋の収縮が起こりくしゃみ発作が生じる。このような免疫系から神経系ヘの入力に加えて、逆に知覚神経は軸索反射を介して局所で神経ペプチドを遊離し、炎症細胞に作用して鼻炎のェフェクタ一としても機能していることが知られている。 さらにこのような神経一免疫一炎症の相互作用は高次中枢の制御を受ける。例えば鼻の生理機能としてnasal cycleと呼ばれる周期的な鼻腔通気の変動があり、鼻炎においてはmorningattackと呼ばれる発作の好発時間帯があり、概日リズムの影響を受けていることが分かる。この様な鼻の神経機構を用いることによって鼻症状が制御できることも知られている。
例えばアレルギー性鼻炎の症状発現は鼻腔の温度や湿度を高くすると軽減されることが古くから知られており、温熱療法が鼻アレルギー診療ガイドラインに掲載されている。また皮膚、特に下肢の加温冷却と鼻粘膜の温度には相関があることが研究で明らかとなっており、アレルギー性鼻炎や血管運動性鼻炎では下肢を温かく保つことが症状の軽減に役立つと考えられる。 さらにー側の上半身,特に腋下周囲の皮膚を圧迫することで対側の鼻腔通気が改善する axillary pressure と呼ばれる現象も知られている。 このような体性感覚-自律神経反射を上手く応用することで新しい鼻炎の制御法が考案される余地があるかもしれないと結論付けられていた。
本講習会ではこのような鼻炎の病態と神経のクロストークについて、様ヶな知見を取り上げて話題提供していただきました。

講演2 11:30〜12:40
『慢性疼痛の病態と治療戦略 -中枢性感作の観点からー』
獨協医科大学 脳神経内科 平田幸一先生

多くの国民が種女の症状を呈する慢性の難治疾患を抱えており,それが生活の質の低下を来す一因となっている一方,その症状には客観的指標が確立されていないため,それを抱える国民の多くは,周囲から理解を得られにくく,ー人で悩んで生活している等の実態が指摘されており,これらヘの対策が社会的課題となっている.
特に難治性の疼痛,例えば病態生理学的にある程度解明されている慢性の難治性片頭痛を例にあげれば,中枢神経系の感作状態とりわけ持続中枢感作と言われる状況に基因していると考えられる. それは疲労感,倦怠感など身体症状,めまいやしびれなどの神経症状, うつなどの精神症状を誘発している可能性がある. これらは結果として生活の質を大きく妨げ,登校拒否,離職や家庭生活を続行することを困難とし,本人の生活のみでなく社会の生産性を大きく損なう.
慢性の難治性片頭痛に限らず,慢性疼痛症,線維筋痛症,慢性疲労症候群,化学物質過敏症,過敏性大腸症候群や重症レストレスレッグス症候群の病態の一部には,中枢神経感作(Central Sensitization:CS)がそのーつとして関与していると考えられている.ー方で,この様な病態におけるCSの役割やその関わりについての研究は進んでいるとはいい難い.CSは多くの痛みをともなう難治性疾患の基礎だと想定されているものの,その本態については研究者によって解釈が異なり,一定の所見につながっているとは言えないうえ,CSについて確立され統合された生理学的指標はまだないと言ってもよく,その必要性は臨床的にも大きい.
本講演では主にわれわれが研究してい`る慢性の難治性片頭痛の臨床神経生理学的解析などを中心にCS全体にわたる研究成果を引用しながら,その治療法についても報告していただきました。

講演3 14:00〜15:10
『摂食·噍下障害に対する鍼治療』
東北大学大学院医学研究科 高山真先生

噍下困難はさまざまな原因で生じる。 食事を十分に摂取できるか否かは患者の生活の質·生命予後に大きな影響を及ぼすことから,それを改善させる試みは大きな意味をもつ. 鍼灸治療は二千年以上の歴史があり,東洋医学のーつの根幹をなしているものであるが,現在では補完代替医療の一つとして西洋諸国でも非常に高いニーズがある.しかし,治療効果のエビデンスの蓄積は依然として少なく,効果の発現機序も十分に明らかにはなっていない.西洋で発展してきた現代医学と東洋で伝統的に用いられてきた医学では病態の認識や疾患分類が異なっているため,西洋医学的に診断された疾患に対して東洋医学的アプローチをする際には,その疾患をもつ症例を東洋医学的病態で診断し直して治療法を選択する必要がある. 噍下障害に対する鍼灸治療に関してもさまざまな方法があり,通常は個タの症例の病態·体質を含めて総合的に診断して治療法を選択する.鍼灸治療では経穴の選択,組み合わせ,鍼を刺す深さや刺激の与え方が治療者によっても異なることが多い.
東北大学漢方内科では,これまでさまさまな病態に対する鍼灸治療の臨床効果を明らかにしてきた.その鍼刺激の方法は,ある特定の太さの鍼を皮膚の垂直方向に1cmほど刺入し,15分間置ぃた後にまったくそれ以外の手技を加えずに抜針するもので手技の標準化を図った. また,経穴の選択も患者ごとに変えずにある特定の組み合わせを用い,治療法も標準化した研究を施行した. この方法によりこれまでに太谿·足三里穴ヘの刺激により,誤噍性肺炎の既往を有する患者の嗾下反射を改善することを報告し,それらの効果は円皮鍼でも確認された. また,当科では漢方薬の介入による誤噍性肺炎の二次予防効果もランダム化比較試験で報告してきている.
摂食·噍下機能評価,病態把握,鍼治療による噍下機能改善効果,漢方薬による噍下機能改善効果,消化管からの逆流に対する漢方薬による改善効果, 足三里穴ヘの鍼刺激による血行動態評価などを報告していただきました。

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